さまざまなエクササイズがある中で、最近ピラティスが人気です。ピラティスを初めたいと思っている人も多いはず。
ピラティスに興味はあるけど、初めてでよく分からない・・・
そんな初心者の方向けに、ピラティスインストラクターがダイエット効果や教室、ポーズ、マット、ヨガとの違いを分かりやすく解説します。
目次
ピラティスとは?
身体の理想的なアライメント(骨格的に正しいポジション)を意識しながら呼吸とともに正しい筋肉動員を行うメソッドです。
エクササイズの形を真似するのではなく、どう行うのかというプロセスを大事にします。
ヨガとどう違うの?
ヨガ
古来インドで発祥した修行をその源流にもち、「瞑想」により身体を整え、精神の落ち着きや平静を心に作ることを目的としています。そのために、身体のバランスを整え、心のバランスを整えるために、呼吸法やポースを習得することを目指します。
ピラティス
対してピラティスは、リハビリ・身体づくりが根底にあり、理想的なボディ・アライメントと正しい筋肉動員を目指し、身体を意識的にコントロールすることがゴールです。副次的な効果として、姿勢や骨格のゆがみ改善、体幹やインナーマッスルの強化が得られます。ピラティスは深い呼吸を継続して身体に意識を向けるため、動く瞑想とも言われます。
ピラティスの効果
ピラティスのダイエット効果
ピラティスは元々機能改善のために生まれたエクササイズなので、短期間で痩せるためのものではありませんが、ピラティスによりダイエット効果は得られます。また、太りにくい身体作りを実現することもできます。
ピラティスは、まずは歪んでいる姿勢を正し、理想的な姿勢をキープするための姿勢保持の筋肉(コア)をまずは強化していきます。長期的に行うことで、歪みのない美しい姿勢を手に入れるとともに、呼吸を深めて代謝をあげて太りにくい身体づくりを行うものです。
ダイエットとしては、ある程度の強度が必要になりますが、いきなり強度の高いエクササイズを行うと、かえって身体を痛めてしまう可能性もありますので、まずは初級のエクササイズから始めていきましょう。
かといってずっと初級のエクササイズを行なっていても痩せることはできません。
慣れてきたら少しずつ強度をあげていくことが大切です。
骨格、骨の太さ、身長、体質…、人それぞれ身体は違いますので、その人にとって最も健康的で美しい身体の細さ、体重は違います。
ウエストが細ければ細いほど、体重が軽ければ軽いほど良いわけではありません。
ただ細く痩せるのではなく、機能的で歪みの少ない綺麗な身体のラインをつくっていくことがピラティスにおけるダイエット効果の特徴になります。
姿勢改善
脚をくんだり、重い荷物をいつも同じ肩にかけたり…、日常生活の小さな癖でも左右の筋肉に偏りがでてきます。
ピラティスでは理想的なアライメントを意識してエクササイズを行い、姿勢の歪みを整えていきます。
猫背や反り腰はもちろん、側湾症やO脚に悩んでいる方も、正しいアライメントを意識してエクササイズすることで筋バランスが整い、改善が期待できます。
機能改善
現代人の多くが腰痛に悩まされていると言われています。
腰痛には、腹横筋の不活性化、臀筋の緊張と不活性化など、筋力の低下が原因としてあげられます。
正しい筋肉動員とともに、全身をバランスよく使っていくことで腰痛はもちろん、身体の機能改善へと繋がっていきます。
ピラティスはどんな世代、客層に人気なの?
もともと怪我をしたダンサーのリハビリとして効果的だと広まっていった背景があるため、トレーニングにピラティスを取り入れている海外のバレエ団が多く、日本でも推奨されるようになってきました。
近年ではサッカーのクリティアーノ・ロナルド選手がリフォーマーに載っている写真をインスタにあげるなど、スポーツ選手のコンディショニングとしても注目され始めています。
日本ではタレントの渡辺満里奈さん、女優の加賀まりこさん、石田ゆり子さんらがピラティスを実践していることで有名です。
年齢、運動経験を問わないため、クライアントの中には運動が苦手だけれど身体をケアしたいという方も多くいらっしゃいます。
女性の方が多いですか、元々は兵士のリハビリからスタートしているので、アウターマッスルを使いやすい男性にも受けていただきたいメソッドです。
ピラティスを行うときの服装
ここでは、ピラティスのための服装の選び方のポイントを説明します。ちなみに、ヨガにはヨガウェアがありますが、ピラティスにはピラティスウェアと言われるものはとくにありません。
服選びに際し、まずインストラクターが何を見るかと言うことを話しておきます。インストラクターは膝の向きや骨盤の傾きなど、骨や関節の位置などを細かく見て、姿勢や動きを修正していきます。
そのため、なるべく身体のラインが見えるウェアが理想的です。
ですが、身体のラインが出ることに抵抗がある場合は逆に緊張してしまうので、自分がクラスに集中しやすいウェアを選びましょう。
理想的なウェア
ぴったりとしたヨガパンツに、ジャストサイズのTシャツやタンクトップなど。
身体のラインが出るのが恥ずかしい場合
レギンスの上からショートパンツなどを履き、大きすぎないTシャツを着てください。
上記のウェアがない場合
手持ちのスウェットなど、動きやすい服装で構いません。
ピラティスの種類と必要な道具
マットピラティス
重力に抵抗して行う自重トレーニングです。
ボールやフォームローラーなどのプロップ(道具)は、エクササイズの強度を下げたり、逆に強度を上げたり、特定の筋肉を感じやすいように補助具として役立ちます。
マット1枚敷けるスペースがあればマットピラティスができるので、自宅やオフィスなどでも行うことができます。
マシンピラティス
リフォーマー、キャデラック、チェアー、バベル、スパインコレクターと呼ばれるマシンを使用するエクササイズです。
プライベートレッスンまたはセミプライベートで行うことがほとんどですが、リフォーマーのグループレッスンを行なっているスタジオもあります。
マシンのスプリング(バネ)で負荷をコントロールしたり、動きを補助することができるので、身体に痛みがあってグループレッスンが不安な方や筋力が弱い高齢の方に特にオススメです。
ピラティスの基本原則6つ
まずは少し専門用語も交えてエクササイズの基本原則を説明します。基本原則は以下の6項目があります。
集中
エクササイズでの正しいポジション、筋肉動員、呼吸のコントロールをイメージすることが大切です。
そこに対してお腹が抜けていないか、腰が反っていないかなど、自分の身体がどういう状態にあるのか、自分の身体に発見をもたらしていくために集中を深めていくことで、ピラティスの効果を得ていくことができます。
なんとなく形を真似して動くのでは、ピラティスによる効果は得られません。
コントロール
ピラティスのセッションでは勢いで身体を動かしたり、浮かしている身体をドスンとマットに降ろすことのないように、常に自分の身体を自分の意思で扱い続けます。
また、何かに焦っている時はテンポが速くなり、動きが大きくなりやすくなります。
落ち込んでいるときはテンポがゆっくりになり、動きが小さくなります。
心と身体は繋がっていますが、心の状態に身体が振り回されるのではなく、身体にとって最適な動きの大きさ、テンポで動けるように心もコントロールする意識が大切です。
センター
コア、パワーハウスとも呼ばれる腹部から骨盤にかけての部分で、コルセットを巻く場所をイメージしてください。
強いセンターが身体を安定させ、脊柱の怪我の予防や骨盤のアライメントを保つことに繋がっていきます。
フロー
フローとは”流れるような動き”を指し、1つのエクササイズをぶつ切りに行うのではなく、まるで踊っているかのように滑らかに身体をコントロールしつづけることです。
特に気をつけたいのがエクササイズから次のエクササイズに移る時です。
気が抜けてアライメントが崩れ、しっかり動員されていたはずのコアが抜けていることが多々あります。
フローは”エクササイズをし続ける”ことだけを指すのではありません。
エクササイズ中にインストラクターの見本を見たり、説明を聞くために動きを止めても、ピラティスとクラスを通じて身体に意識を向け続ける集中力の持続のこともフローと呼びます。
正確性
精度の低い動きを何回も行うよりも、正確性のある動きを1回行うことで身体への負担を減らし、エクササイズの効果を高めます。
過剰に動くことや反対に動き過ぎないことは、正しい筋肉動員やアライメントの改善を妨げることにもなります。
ピラティスでは量より質を重要視しています。
呼吸
深い呼吸は心肺機能を高め、血液を循環させます。
現代人は呼吸が浅くなりがちですが、呼吸を深めることでストレスの緩和、自律神経の乱れの改善にも繋がります。
また、深い呼吸とともに動くことでコアが動員され、筋肉のパフォーマンス向上にも効果的です。
ピラティスではお腹を膨らませる腹式呼吸ではなく、常に腹圧をいれつづけて動くために胸式呼吸を行います。
腹式呼吸は副交感神経を、胸式呼吸は交感神経を刺激するので、意識して使いわけしていきましょう。
ピラティスの歴史
発案者、ジョセフ・ピラティス
ドイツ人のジョセフ・ピラティスは身体が弱く病気がちだったこと、父が体操選手で母が自然療法士だったことから、独学で解剖学を学び、様々なスポーツやヨガなどのコンディショニングを実践し、14歳になる頃には体力がつき、健康になったと言われています。
彼はその後、第一次世界大戦の時にイギリスの収容所で傷病兵の介護にあたることになります。
その際にベットの上で行えるエクササイズや、ベットなどの家具からマシンを考案しました。
ヨーロッパ全土でインフルエンザが流行した際に、ピラティス氏が介護した患者は誰もかからなかった、という逸話もあります(あくまで逸話ですが、それくらい当時からピラティスが注目されていたことの証拠と言えます)。
コントロロジー
そのような経験を経て、ピラティス氏は戦後になって、妻クララとともにニューヨークにスタジオを開設し、”コントロロジー”というメソッドを立ち上げます。これは舞踊業界(ダンス業界)で広まっていきました。
ピラティス氏はコントロロジーがパフォーマーやアスリートだけではなく、身体と心を健康にするメソッドとして多くの人々に役立つと信じていましたが、大衆に普及することを見ることなく、1967年に死去しました。
その後も妻クララと教え子たちによってメソッドが受け継がれ、少しずつ大衆に受け入れられていくようになりました。
ピラティス・メソッド
現在、ピラティスには様々な流派があります。
ピラティス氏は、マンツーマンで指導をしていたため、同じエクササイズでも注意点は人それぞれになります。呼吸にフォーカスするのか、体幹なのか、背骨なのか・・・
その差異がそれぞれの流派の違いになっていきましたが、根本は同じです。
また、ピラティスメソッドは常に進化をしています。
ピラティス氏が生きていた頃と現在では、人体の仕組みへの理解も変わってきています。
例えば、脊柱をマットに沈めるようにフラットにしておくべきだという指導から、現在では腰椎なマットから少し浮いている脊柱のS字カーブを維持し続けるべきだ、という指導になっています。
人々のライフスタイルも変化し、デスクワークが増えたために筋力が低下しているため、元々のピラティスメソッドのプレにあたるエクササイズも生み出されてきました。
ピラティス氏が存命であれば、常に最先端の身体科学を学び、現代特有の問題に取り組んでエクササイズを改良しつづけただろうと言われています。
そのため、各流派、インストラクターはそのピラティス氏の姿勢を尊重し、常にメソッドを進化させ続けています。
以上、ピラティスの解説でした。
興味のある方は是非、メールフォームでお問い合わせください。